「起業家のマナー」シリーズ、今回は第17回です。テーマは「与える者としての在り方」。
第10回では「ギバーズ・ゲイン」という原理原則をお話ししました。今回は、それを日々どう体に染み込ませていくか、という話です。
- 「働く」の語源から見る、ビジネスの大前提
- 「私には与えられるものがない」が思い込みである理由
- 与える意識を日常で鍛える、いちばん簡単なトレーニング
働くとは、「傍(はた)を楽にする」こと
ビジネスは、基本的に与えることが前提です。価値を与えるから、その対価としてお金が入ってきます。
「働く」は、「傍(はた)を楽にする」ことだとよく言われます。まわりの人が困っていること、手伝ってほしいことを助けて、楽にしてあげる。だからお金がいただける。
たとえば、わが家は家事代行をお願いしています。受講生さんの中に家事代行のお仕事をされている方がいて、週に1〜2回来ていただいているんです。
料理を作ってもらったり、掃除をしてもらったりすると、本当に楽になります。めちゃくちゃ助かる。こうして気持ちよく発信ができているのも、そのおかげです。
傍が楽になるから、対価としてお金をお支払いする。ビジネスは、こういう構造になっています。

ビジネスをやるなら、まず与える。これが絶対条件です。
自分を「ギバー」として扱う

だから普段から、奪う、もらう、得してラッキー、という発想ではいけません。
- いかに与えられるか
- いかにお役に立てるか
- いかに価値を届けられるか
そこにフォーカスを当てることが、めちゃくちゃ大事です。
すべての場面で、自分自身をギバーとして扱う。まずは、最大限に与えられることを考えていきましょう。
「与えられるものなんて、何もない」は本当か
こう言う人がいます。
「私なんて、まだ時間もお金もないし、能力も知識もない。与えられるものなんて何もありません」。
それは、違います。
有名な話ですが、新入社員の研修では、新入社員には「元気がある」、そして「常識がない」という強みがあると言われます。
慣れている人は、当たり前になってしまって動けなくなっていることがあります。「これはこういうものだよね」という固定観念ですね。新入社員には、それを壊す力があるんです。
元気、先入観のなさ。それも立派に与えられるものなんです。
お金や知識がなかったとしても、感謝の気持ちを与えることは、誰にでもできます。
フィードバックは、それ自体がギブ

私自身、受講生さんや関わってくれる方に救われることがたくさんあります。
それは、サービスを受けてくださったあとの感謝の声であったり、「自分は変われたんだ」というフィードバックであったりします。
フィードバックは、ギブでしかありません。
「クレームは最大のギフト」とよく言いますよね。お客さんからのクレームは、ここを改善すればいいというポイントを教えてくれるものです。
ただ、そこに怒りのエネルギーのような、余計なものがくっついているだけ。クレームそのものは、ありがたいものなんです。

怒りを取り払って伝えれば、フィードバックは最高のギブになります。
だから、あなたもフィードバックをしてあげてください。先生にも、仲間にも。
先生にとって何よりの励みは、あなたの変化の報告です。第3回でお話しした「成果報告」や「お客様の声になる」も、じつは立派なギブなんですね。
お金がなくても、知識がなくても、受け取ったものを言葉にして返すことはできます。
消費者ではなく、起業家として考える
話を戻すと、まずは与えることを意識しましょう。
「得させてもらう」「自分が得することをまず考える」。これは消費者の考え方です。
私たちは起業家です。
起業家マインドとして、「何か与えられないかな」と常に考える。これがめちゃくちゃ大事になります。
いちばん簡単なトレーニングは、電車の中にある

これを訓練するなら、普段から「善の行動」を意識するといいです。誰かの役に立てないかな、と常に考える。
いちばん簡単なのは、電車です。最強のトレーニング場所ですよ。
まわりを見渡して、困っている人がいたら席を譲る。私たちは起業家なんだから、エネルギーにあふれていますよね。みんなお疲れなんだから、代わってあげればいい。
そうすると、「まわりで困っている人はいないかな」というセンサーが働くようになります。人間観察をするようになる。

与える意識は、日常でいくらでも鍛えられるんです。
周りを見ない人、見る人
席を譲らない人は、寝たふりをしたり、携帯を見て絶対に周りを見ないようにしたりします。
目が合ったら気まずい。席を代わらないといけないのかな。
自分が失うことを恐れていたり、「自分だって疲れているんだから」という損得勘定があったりするのかもしれません。
だから、周りを見ようとしないんです。
でも、「与えられないかな」と考えている人は、自分より必要としている人がいたら、自然と与えようとします。
- おじいちゃんが乗ってきたら「どうぞ、代わりますよ」。
- 小さな子どもが乗ってきたら「いいよ、ここ座りな」。
- 妊婦さんが乗ってきたら、すっと立てる。
常に与える意識を持っていれば、勝手に体が動くようになるんです。
与える力は、特別な場面で急に出せるものではありません。日常の小さな行動で、毎日鍛えられるものです。
おわりに ── まず与える。それがマナー

そういう訓練をしながら、常に与える起業家であり続けましょう。
まず与える。この考え方でいることが、マナーです。本当に、マナーレベルの話です。
繊細な人は、まわりの人の小さな困りごとに気づく力を、もともと持っています。
その気づきを、「気づいたけど、何もしなかった」で終わらせないでください。

気づいて、一歩動く。その積み重ねが、あなたをお客様から選ばれる起業家にしていきます。
それではまた、次回のコラムで。
※本コラムは、YouTubeで公開された動画「100.起業家のマナー17」の内容を、読み物として再編集したものです。






