「起業家のマナー」シリーズ、今回は第6回です。
第1回から第5回までは、場を守ること、そして敬意を払うことがテーマでした。
今回からは、いわば第2章。ビジネスの筋道、義理と人情のパートに入っていきます。
1本目のテーマは、「コミュニティ内の秩序を守る」。キーワードは「筋を通す」です。
- コミュニティの中で商売をするときに、通すべき「筋」
- 場の提供者に売上の一部を渡すのが当然である理由
- 「自分の実力で取ったお客さん」という勘違いの危うさ
師匠がよく使う言葉、「筋を通せ」
私の師匠の大森健巳先生は、「筋を通せ」という言葉をよく使われます。
そばで学んでいると、先生にとって筋を通すことがどれほど重要な価値観なのかが伝わってきます。
じつは私自身、筋を通すことへの意識が低かったと思っています。
自然と通していた部分もあります。でも、徹底はしていなかった。
だから、これまで習わせていただいた先生たちに、きっと失礼なこともしてきました。よろしくないことを言ったこともあります。これは自覚があります。
先生の講座を、悪く言ってしまったことがある

もう5年ほど前の話です。
自分の講座を案内するときに、先生の講座との違いを説明したことがありました。いわゆる差別化です。
たとえば「あちらは個別コンサルがないコースですが、私は個別にサポートします」という伝え方。
言っている本人に悪気はなくても、聞き方によっては先生の講座を悪く言っていることになりますよね。「個別がないのは良くないこと」というニュアンスが含まれてしまう。
今なら分かります。
個別には個別の良さがあり、グループにはグループの良さがあります。
一見、個別のほうが手厚く見えます。でも人を導くのに効果的なのは、じつはグループだったりするんです。

自信がなかったから、人と比べて自分を大きく見せようとしていたんですね。
コミュニティは、いちばん集客しやすい場所
では、具体的に何が「筋」なのか。
コミュニティに入ると、その中で集客ができるようになります。あなたにも経験がありませんか。
講座で仲良くなった人、誰かのセミナーや集まりで出会った人と、ビジネスが発展する。お客さんになってもらえる。ご紹介が生まれる。
コミュニティは、初心者がいちばん集客しやすい場所です。初心者だけでなく、上級者になってもそうです。
中には「このコミュニティ内でビジネスを回し合いましょう」というコミュニティもありますよね。全国的に有名な組織もあります。
場をつくった人に、筋を通す

だからこそ、コミュニティの中で集客するときは、そのコミュニティをつくった人に筋を通さなければいけません。
コミュニティをつくり、維持し、いい空間にするために、トップの人はものすごいものを注ぎ込んでいます。
- 時間
- お金
- 労力
- 情熱
そのコミュニティを使って集客できているということは、ある意味、トップがあなたの代わりに集客してくれているということです。
だから、コミュニティの中でビジネスが生まれたら、売上の何割かを「レベニューシェア」としてトップに渡すのが筋です。いわば場所代ですね。

あなたの集客の一部は、トップがやってくれているんです。
リアルな商売でも、場所代は当たり前にあります。
学生時代、ほんの一時期だけ夜の世界で働いたことがあります。もう20年以上前の話です。
そこでは、売上はお店と本人で折半でした。お店という箱があり、看板があるから、お客さんが集まってくる。そして店が守ってくれているから、安心して働ける。だから半分を納めるんです。
個人でビジネスをする場合も同じです。
プラットフォームにいさせてもらい、そこを使って集客しているのだから、場の提供者にパーセンテージを払うのは当然です。
相場はどれくらいか
とはいえ、コミュニティを使っただけで50%、ということはありません。
プロデュースしてもらったり、コンサルに入って一緒にやってもらったりする場合は、50〜80%くらいが相場です。
コミュニティを使っているだけなら、だいたい10〜50%のあいだでしょうか。
幅があるのは、そのコミュニティが「仲良くなりやすい環境」をどれだけつくっているかによるからです。
私のコミュニティでは、チーム制を敷いたり、メンバー同士がつながれる工夫をかなりしています。ここを足がかりにしてほしいという思いがあるからです。
そのうえで、コミュニティ内で行われた商売については、30%をいただいています。
0%にしていた頃、場が荒れた

なぜ30%にしているのか。
じつは昔、これを0%にしていた時期があります。そうしたら、不都合が起きすぎたんです。
上級者が、入ってきたばかりの人たちにセールスしまくる。そんな場の荒れ方をしたことがありました。
30%にしたところで、ちょうどいい塩梅に落ち着きました。
もちろん、マインドセットの教育やマナーの徹底を続けてきたことで、一人ひとりの人間性が上がったのも大きな理由です。

ルールは、場を守るためにあるんです。
「自分の実力で取ったお客さん」という勘違い
ときどき、こう言う人がいます。
「自分の実力でお客さんを取ったのに、なんでお金を払わないといけないんですか」。
これは大きな勘違いです。
お客さんは、信頼関係で買います。では、その信頼関係は何がきっかけでできたのか。
コミュニティという環境があって、そこで仲良くなれたからですよね。
あなたの力だけで、お客さんを取っているわけではありません。場があったから、信頼関係が生まれた。そこに筋を通すことが大切なんです。
商売をOKしているトップは、それだけ負担を背負っている

じつは、多くのコミュニティはメンバー同士の売買を禁止しています。むしろ、そちらのほうが多い。
理由は、トラブルが絶えないからです。
マインドセットの教育も、場の管理もできていない。売上だけを目指すようなコミュニティだと、レベニューシェアを設定していても場は荒れます。
それでも「この中で商売してもいいですよ」と言ってくれるトップは、そのぶん負担が大きく増えます。
- 「あの人に売られました」
- 「圧がすごかったです」
- 買ったあとも「支払ってもらえていません」
- 「サポートしてくれません」
そういうクレームは、全部トップのところに来るんです。トップからすれば関係ない話でも、対応しなければいけません。

商売を許してくれている場は、当たり前ではないんです。
おわりに ── 場を与えてくれた人への、敬意と感謝

コミュニティの中で商売をするなら、覚えておいてほしいことは3つです。
- まず、トップに迷惑をかけないこと。
- そして、その場を使わせてもらって商売ができているなら、パーセンテージを払うのは当然だと認識すること。
- 最後に、自分だけの力でお客さんを取っているのではない、という感謝を持つことです。
起業はチーム戦です。あなたの売上の裏には、必ず場をつくってくれた人がいます。
そこに筋を通せる人は、どのコミュニティに行っても信頼されます。

信頼される人のところに、次のご縁が回ってくるんです。
それではまた、次回のコラムで。
※本コラムは、YouTubeで公開された動画「89.起業家のマナー⑥」の内容を、読み物として再編集したものです。






