「起業家のマナー」シリーズ、今回は第10回です。第2章「ビジネスの筋道」の最後のパートになります。
今回お伝えしたいのは、「ギバーズ・ゲイン」という考え方です。
与える人は、与えられる。ビジネスの原理原則です。
ここまで読んでくださった方には当たり前かもしれませんが、今一度しっかりインストールしてほしいので、改めてお話しします。
- 与える人のまわりで「豊かさの連鎖」が起きる理由
- 奪うと短期的には得をするのに、長い目で見ると失うもの
- 与えるだけで終わる「貢献貧乏」から抜け出す方法
してもらったら、返したくなる
親切にしてもらうと、何か返したくなる。そんな経験はありませんか。
スーパーの試食がまさにそうです。これは「返報性の法則」を使った商売ですね。人は何かをしてもらうと、何かを返したくなるんです。
私は、いつも試食の罠にはまっています。コストコに行くと、いろいろ食べさせてもらって、「これ買ったらいいんじゃない?」と。気づけば買い物かごがどんどん膨らんで、冷蔵庫も膨らんで、食べるのが大変になる。
しかも、試食で食べるとおいしいのに、家で自分で作ると意外とそうでもなかったりするんですよね。
なので最近は、試食しないようにしています。自分が欲しいものを買いに行くんだ、と。

笑い話ですけど、原理はまさにこれなんです。
出したものが、返ってくる

自分が出したものが、返ってくる。
ギブの気持ちで与えていると、ほかの人から与えられるようになります。そして、いい循環が回り始めるんです。
あなたが与えると、その人が豊かになります。豊かになったその人が、また誰かに与える。すると豊かな人が増えて、豊かさが連鎖していく。
想像してみてください。あなたのまわりが、お金もない、健康もない、気持ちも下がっている、やる気もない。そんなネガティブな人たちでいっぱいだったら。
人生がうまくいく気がしますか。引き上げてもらえるイメージが湧きますか。一緒にビジネスができる自信はありますか。ないですよね。
逆に、お財布も気持ちも豊かな人たちがまわりにあふれていたら。あなたが何か商売を始めたとき、うまくいく気がしませんか。
豊かさのスタート地点は、どこにあるか
豊かさを分け与えようと思ったら、その人自身が豊かでないと与えられません。
では、豊かさはどこから始まるのでしょうか。
うまくいく人は、「自分がスタート地点になろう」と考えます。
消費者マインドや、「誰か助けて」というマインドの人は逆です。「まわりが豊かになって、私を助けて」「私にください」。以前お話しした、くれくれマインドですね。
そうではなく、自分が起点になって、自分から与えていく。自分が与えるからまわりが豊かになり、そのまわりも豊かになる。そうやって豊かな社会をつくった人のところに、豊かさは巡り巡って大きくなって返ってきます。

豊かさの連鎖は、あなたから始められるんです。
奪うと、負の連鎖が始まる

当たり前の原理原則です。なのに、意外とみんな、目の前の損得勘定で「これは自分のものだ」と奪ってしまいます。
奪うと、どうなるか。奪われた人は貧しくなります。そして、「だったら私も奪ってやる」となる。
それが連鎖すると、豊かさの逆が起きます。貧困、不足感、憎しみ。ネガティブの連鎖が広がって、いずれあなたからもいろいろなものが奪われていくんです。
少し連想してみれば分かることです。でも、私たちはついつい目の前で奪ってしまう。
- 値切る
- タダで済ませようとする
- 人のアイデアを黙って使う
どれも、その場では得をしたように見えますよね。
なぜなら、奪えば短期的には得をするからです。与えれば、短期的にはなくなりますから。
与えても、じつは何も減っていない
ただ、「なくなっているもの」と「なくなっていないもの」があります。
たとえば、お金を寄付したとします。目の前のお金は相手に移動するので、お金は減りますよね。
でも、その代わりに「ありがとう」や感謝、誰かに貢献できた喜びが、あなたの中に芽生えています。
お金は減ったけれど、別のものが増えた。エネルギーとしてはプラスマイナスゼロなんです。
逆に、あなたがお金を奪ったらどうでしょう。お金はプラスになります。でもその分、何かが失われている。
- 自尊心
- これまで積んできた徳
- 信頼
いろいろなものが失われて、お金だけがプラスになっている状態です。
そして奪われた側には、怒りのようなエネルギーが蓄積しているかもしれません。こうして、連鎖していくんです。

奪ったお金の裏で、徳と信頼が減っているんです。
与えても循環する「仕組み」をつくる

起業をうまくいかせたい、豊かになっていきたいなら、与えることです。
与えるから入ってくる。与えるからみんなが豊かになり、プラスの連鎖が起きます。
ただし、ここで一つ大事なことがあります。
与えても循環する仕組みをつくることです。
貧しくなってしまう人は、与えるだけ与えて、自分に戻ってこないようにブロックしてしまうんです。
「いえいえ、私はいいです」と。
精神的な豊かさはどんどん増えていくのに、お金だけがひたすら出ていく仕組みをつくってしまっている人が、けっこう多いんですよね。
これが「貢献貧乏」です。いちばん豊かになる人は、与えたうえで、ちゃんとお金も戻ってくる仕組みをつくっている人なんです。
あなたがギブすればするほど、ちゃんとお金が返ってくるようになっていますか。
その導線や仕組みを整えることが、ビジネスではとても大切です。

与えたら、ちゃんと受け取っていいんです。
受け取らないことは、謙虚さのように見えて、じつは循環を止めています。お金が戻ってこなければ、次に与える力も細っていくからです。
与え続けるためにこそ、受け取る。循環させることまでが、与える人の責任なんですね。
おわりに ── 価値を与えることが、稼ぐことに直結する

絶対に間違えてはいけないのは、目の前で得をするために奪うことです。それをやると、負の連鎖に入っていきます。
とにかく、与える。価値を与える。価値を与えることが、お金を稼ぐことに直結しているんです。
繊細な人は、もともと与えることが得意な人が多いと思います。相手の気持ちが分かるから、自然と手を差し伸べられる。
だからこそ、「受け取ること」をブロックしないでください。与えて、受け取って、また与える。

その循環の中心に立てる人が、起業家なんです。
それではまた、次回のコラムで。
※本コラムは、YouTubeで公開された動画「93.起業家のマナー⑩」の内容を、読み物として再編集したものです。






