「起業家のマナー」シリーズ、今回は第2回です。前回は 「マイルーム・マイルール、ゼアルーム・ゼアルール」 ―― 入った場所のルールを尊重しよう、というお話をしました。
第2回は、その考え方をもう一歩進めます。
テーマは 「場にふさわしいアウトプットをしよう」。
- 「場にふさわしいアウトプット」とは何か、なぜそれがマナーなのか
- コミュニティで嫌われる人がやりがちな“場違いな発信”の正体
- 「よかれと思って」がいちばんやっかいな理由
マナー編 第2回のテーマは「場にふさわしいアウトプット」

前回の「マイルーム・マイルール」と地続きの話です。
たとえば、あなたが私のコミュニティに入ったとします。そのとき、私のコミュニティの中で、まったく別のコミュニティの話を持ち出さない。これがマナーです。
「私の」と言うとイメージしづらいかもしれないので、逆の立場で考えてみましょう。あなた自身がコミュニティを主宰する側だとしたら、どう感じるか。ここから見ていきます。
極端な例で考える ― 英語コミュニティに「FXの儲け話」が放り込まれたら
あなたが自分のコミュニティを作るとします。「みんなで英語の学習をやっていこうぜ」というコミュニティです。あなたは英語の先生で、メンバーと一緒に英語を頑張っていく。
そこであなたが課題を出します。「1週間で、外国の方に話しかけてみましょう」と。
すると、このコミュニティのアウトプットの場には本来こういう声が持ち寄られますよね。
- 「チャレンジしてみました」
- 「海外の人に話しかけてみました」
- 「こういう場所に行ったら海外の人が多くて話しかけやすかったです」
これが、そのコミュニティのあるべき姿です。
ところが、その中でいきなり誰かが、こう投稿してきたらどうでしょう。
「最近FXで儲かったんですよ。このサイトから登録すると儲かる情報がもらえるので、皆さんぜひどうぞ!」
……どう思いますか。
「いや、なんでそれをここに放り込んできたの」「それどころじゃないんだけど」となりますよね。
せっかくみんなで英語に集中しようとしているのに、まったく関係ない話題が入ってくる。それは、その場にとって”ノイズ”でしかない。
みんなの集中を削いでしまう。

主宰者にとっても、参加者にとっても、迷惑なんです。
英語のコミュニティで、英語以外の話題はノイズになる。これは、わりと分かりやすい例だと思います。
やっかいなのは、本人に悪気がないこと

ここがポイントなんですが、放り込んでくる本人は気づいていないんです。むしろ、みんなのために「よかれと思って」やっている。「お金が儲かったらみんな嬉しいよね」と思って、FXの情報を共有してくる。
でも、その人は経験がないから知らないだけなんですよね。
FXがどれだけギャンブル的なものか。そして、そういうサイトに載っている”儲かる情報”が、実は詐欺の入り口だったりすること。その情報をクリックしてしまう人は、詐欺グループに目をつけられているだけ――そんな裏側を知らないまま、善意で人を巻き込んでしまう。
僕は、詐欺に8回あったことがあります。だから分かるんですが、人を詐欺に巻き込むとき、みんな善意でやるんですよ。「よかれと思って」巻き込んでいく。詐欺をする側は、そうやって何も知らない人を見つけて、その人を使って広げていくんです。

その「何も知らない人」が、昔の僕でした。
だからこそ伝えたい。やらかす人に悪気はない。善意なんです。
でも、善意かどうかと、場にふさわしいかどうかは、まったく別の話なんですね。
コミュニティの中で「場違いな話題」はノイズになる

基本はシンプルです。
そのコミュニティの中では、そのコミュニティで扱っている話題だけをアウトプットする。
特にグループチャットはそうです。
さっきの英語コミュニティの例で言えば、英語以外の話題はぜんぶノイズなんですよね。
みんなが集中できなくなってしまう。せっかく仲間の力、場の力で「英語を話せるようになろうぜ」とやっているのに、関係ない話題が入ってくると、それだけで空気が濁る。コミュニティを運営している人にとっても、参加しているメンバーにとっても、ありがたくない。
起業はチーム戦です。場の力を借りて、個人ひとりでは超えられない限界を超えていく。

その場を、自分の発信ひとつで濁らせないこと。
これが「場にふさわしいアウトプット」というマナーの中身です。
もっとありがちな“あるある” ―「別の先生のYouTube」を貼る人

FXの例は、ちょっと極端でした。英語のコミュニティにFXを放り込む人は、さすがにそういません。でも、これに近いことをやってしまう人は、けっこういるんです。
たとえば、英語コミュニティのトップが「外国の人に話しかけてみよう」と課題を出して、みんなが「やってみました」「ここなら行けそうです」「こう言ったら断られました」と報告し合っている。
そこに、ぜんぜん関係ない別の英語の先生のYouTubeを貼り出す人がいるんですよ。「この先生の動画に別の上達法が載っていて、僕はこれですごく良くなったので皆さんにもシェアします」と。

これ、大迷惑なんです。
考えてみてください。その先生が「この方法でやっていこう」と言っているコミュニティに、みんなは集まってきたわけですよね。なのに、なぜ別の先生のやり方を持ち込むのか。そして、なぜそれをみんなに勧めようとするのか。
そのコミュニティを集めたのは、あなたではないですよね。
そして、これも本人は「よかれと思って」やっているんです。「みんな英語ができたらいいじゃん」「自分が聞いて良かったから、みんなにもシェアしたんだよ」と。
気持ちは分かります。でも、ダメなんです。だってそれは、あなたのコミュニティじゃないから。
それをやりたいなら、自分でコミュニティを作る。それが筋なんですよね。
人の場所では、その場にふさわしいアウトプットに徹する。これがマナーです。
もし周りの人がやってしまっていたら

繰り返しますが、本人は「よかれと思って」やっているケースがほとんどです。
だから周りの人は、優しくというより、はっきりと注意してあげてください。

「それはちょっとまずいよ」と。
もし注意するときに言葉が見つからなかったら、このコラムをシェアしてもらえれば、「それは場にふさわしくないんだ」というのが伝わると思います。
おわりに ― マナーは「昔の僕」が教えてくれたこと

安心してください。僕がこうして「マナーだ」とお伝えしていることは、全部、僕自身が昔やらかしたことです。
僕もこれをやらかしました。やらかして、めちゃくちゃ怒られて、嫌われて、吊し上げられました。「コミュニティを荒らしやがって」と言われて。もう6年くらい前の話です。

「だからこそ、皆さんには同じ失敗をしてほしくないんです。
マナーは、起業家としての土台であり、基礎基本です。
スキルや成果よりも前に、信頼を守るための足場になるもの。そして、その足場は、誰も注意してくれないまま、知らないうちに崩れていきます。
繊細な感性を持っている人ほど、本当は「場の空気」を感じ取るのが得意なはずです。その感性を、ぜひ自分の発信にも向けてみてください。「この場には、何がふさわしいだろう」と。それだけで、あなたの信頼はちゃんと積み上がっていきます。
「起業家のマナー」シリーズ、まだまだ続きます。一緒に、土台を積み上げていきましょう。
それではまた、次回のコラムで。
※本コラムは、YouTube「たかみっちーの繊細起業チャンネル」で公開された動画「85.起業家のマナー②」の内容を、読み物として再編集したものです。






