「起業家のマナー」シリーズ、今回は第16回です。テーマは「去り際の美学」。

学ぶ場やコミュニティから離れるとき、どう去るか。じつはここに、その人の在り方がいちばん表れます。

本題に入る前に、少し違う角度の話からさせてください。

この記事でわかること
  • 人は誰でも、常に何かから影響を受けて生きているということ
  • 「思っていたのと違った」と言って去ることが、マナー違反である理由
  • 感謝とともに、静かに去るという美学

世の中は、すべて「洗脳」でできている

朝礼やTMCのメンバーさんにはよく話しているのですが、世の中はすべて「洗脳」でできているんです。

「洗脳」と聞くと、マインドコントロールのような悪いイメージがありますよね。言葉は強いですが、少し聞いてください。

私たちは生まれた瞬間、真っさらな赤ちゃんの状態から、まず親の影響を受けます。

  • 親の固定観念
  • 価値観
  • 常識

子育ては、ある意味で最強の洗脳です。

社会に出れば、社会の影響を受けます。学校もそうです。「ほかの人と同じことをしなさい」「一人だけはみ出してはいけない」。

そもそも学校教育は、労働者を量産するために作られた仕組みだという見方もあります。つまり、教育も一つの洗脳なんです。

どこで、誰から影響を受けるか

国によっても、私たちは影響を受けています。

日本にいれば、日本の文化に染まります。たとえば「人は家に住むものだ」という感覚。
でも、私が学校支援で通っているカンボジアの田舎では、それが当たり前ではありません。

目に見えるものすべてに、私たちは影響を受けているんです。

成功している人のマインドセットに影響を受けて、その考え方をインストールできたら、自分もそうなれますよね。

私も、いろいろな人に「洗脳されに」行っています。誰かの塾を受ける、講座を受ける、コンサルを受ける。それは、その人から影響を受けに行くということです。

学ぶというのは、自分から影響を受けに行くことなんです。

合わなくなったら、静かに離れればいい

ただ、「この人から学ぼう」と決めたものの、だんだん価値観が合わなくなってくることがあります。

影響を受けるのがつらくなってきた。この人からこれ以上、影響を受けたくない。

そう思ったら、どうすればいいか。静かに離れればいいだけです。

ところが、ここで変なエゴを発動してしまう人が多いんです。

「期待していたのに、思っていたのと違った」。被害者意識を持って、これをやってしまう。

相手が、あなたの思い通りになる理由はない

気に入らないなら、去ればいい。それだけのことです。

それなのに、去るときにこう言う。

  • 「思っていたのと違いました」
  • 「期待外れでした」
  • 「最初は良かったのに、だんだん変わってしまいました」

先生の側からすれば、「なぜわざわざ、あなたの思い通りにならなければいけないのですか」という話です。

揉める原因は、だいたい決まっています。コミュニケーションの質や量、そして進め方(プロセス)が合わなくなった。ほとんどがここです。

合わなくなったら、去る。以上、終わりなんです。

相手に自分の価値観やルール、優先順位を押し付けるのは、ものすごい迷惑行為です。

選んだのはあなた。だから、去るのもあなたなんです。

立つ鳥、跡を濁さず

よく言いますよね。「立つ鳥、跡を濁さず」。

飛び立つときに水を濁さず、静かに去っていく。これがマナーです。

私にも、これまでそういう経験があります。

「この先生から習おう」と決めて学んでいくと、自分のレベルが上がっていきます。先生も次のステージに進み、大切にするものが変わっていく。

すると、やはり合わなくなる瞬間が来るんです。そうしたら、「一旦ここで終わりにして、またお互い頑張りましょう」と区切りをつけてきました。

私が、最初の先生のもとを離れたとき

私が最初に習わせていただいた先生のときも、そうでした。

当時の私は、起業をやったこともなく、人にどう教えていいかも分かりませんでした。だから、その先生のもとで学ぶと決めて、しっかり影響を受けに行ったんです。

そして「なるほど、こう考えればいいのか」と分かったとき、習いたかったものは、ちゃんと習わせていただいたと感じました。

そのうえで、この先もこの先生から影響を受け続けたいか、と考えました。

私は、家族でビジネスをやっていき、家族で幸せになっていきたい。お金を稼ぐのも大事ですが、それはすべて家族の幸せ、つながる人の幸せ、社会の幸せにつながっていくためのものです。

一方で、最初の頃に習った先生方は、どちらかというとお金を追いかける方が多かったんです。

ここで価値観の違いが出てくるな、と感じました。だから、学びを終了させていただき、次に進ませていただきますと、静かに去りました。

先生の価値観を、否定しない

そのとき、「あの先生の価値観はダメだ」とは、絶対に言いません。当たり前です。

先生には先生の価値観があっていい。価値観やルールは、一人ひとりのものです。

第1回でお話しした、「マイルーム・マイルール」ですね。

私は先生のお部屋にお邪魔していたんです。合わなくなったと思ったら、私が静かにそこから去る。それだけのことです。

何でも自分の価値観を優先するのは、見ていて痛々しいものです。

おわりに ── 感謝とともに、静かに去る

合わなくなったら、静かに去る。去り際は、めちゃくちゃ大事です。

そして、去るときは感謝とともに。

なんだかんだ言っても、あなたはその期間、育ててもらったんです。その人に関わり、影響を受けたことで、何かがあったかもしれません。

でも、あったものに目を向ければ、成長させていただいたこと、学ばせていただいたことがたくさんあるはずです。

繊細な人ほど、離れるときに罪悪感を抱いたり、逆に相手を悪者にして自分を納得させたりしがちです。どちらも必要ありません。

そこに感謝をして、静かに離れていく。

その去り方が、次の場所でのあなたの信頼をつくります。

それではまた、次回のコラムで。

※本コラムは、YouTubeで公開された動画「99.起業家のマナー16」の内容を、読み物として再編集したものです。

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