「起業家のマナー」シリーズ、今回は第12回です。テーマは、セールスのときの「仮想敵」。
セールスをするとき、「こういうものとは違います」という比較の対象を置くことがありますよね。これを仮想敵と呼びます。
この仮想敵の置き方ひとつで、マナー違反になってしまうことがあるんです。
- 「本質」を扱うサービスほど、仮想敵が必要になる理由
- 仮想敵を「特定の人物」、とくに自分の先生にしてはいけない理由
- 誰も傷つけずに差別化できる、きれいな仮想敵の置き方
やり方を教えても、結果は出ない
私がTMCでやっているのは、本質的なことです。
結果を出すために本質的なのは、やり方ではありません。
- Facebookの集客のやり方
- Instagramの発信の仕方。Xの使い方
- TikTokのバズらせ方
- セールスのやり方
- マーケティング自動化のやり方
全部、やり方ですよね。やり方を教えても、結果はなかなか出ないんです。
でも、やり方を教えると、みんな納得します。
だから、お客さんに結果を出させたいのではなく、販売をして満足度を上げたいなら、やり方を教えていればいい。そのほうがよっぽど商売上手です。

でも私は、その人の人生が良くなることにフォーカスしています。だから、絶対に結果を出してほしいんです。
枝葉ではなく、根っこを変える
とくに、これからビジネスを始めていく0→1のフェーズの方にとって、本当の課題はやり方ではありません。
やり方なんて、ごまんとあります。知らないことだらけで、どこから手をつけていいか分からない。
だったら、枝葉の部分ではなく、根っこ、幹となるど真ん中を変えたほうがいい。その人自身を、結果を出せる体質に変えるほうが、絶対に結果は出ます。

やり方は枝葉。変えるべきは、幹なんです。
だから私たちは、本質を追求しています。
ただ、本質を追求すると、あんまり売れにくいんです。
私のダイエットが、うまくいかない理由
なぜ本質は売れにくいのか。私自身の例でお話しします。
今、私はダイエットをしたいと思っています。結果は出ていますか。出ていません。全然、痩せません。
理由は簡単です。痩せるマインドセットがついていないからです。
自分でも分かっているんですよ。私は「痩せたいな」なんです。
その裏にあるのは、「楽して痩せたいな」。
食べたいものを食べて、幸せに暮らして、運動もたいしてせずに痩せたい。
そんな人間に、ダイエットの方法を教えても、やる気がないのでやりません。だから痩せない。
本当に私を痩せさせたいなら、「痩せたい」ではなく「絶対に痩せる」とコミットさせないといけません。
しかも、私自身が強く望んで、無意識に痩せるための行動を取るくらいの意識の変化や、気づきを与える必要があります。

でも、そういう本質を突かれて、私が買うかといったら、買わないんです。
「本当に痩せると決められますか」とコミットを迫られたら、「楽して痩せられる魔法の薬はありませんか」と言いたくなる。
私みたいな人間が飛びつくのは、目新しい「魔法のダイエット法」です。それで痩せるか。絶対に痩せません。
まぁ、来るべきときが来たら、自分で書き換えて勝手に痩せていきますけどね。夏頃のYouTubeを見てもらったら、顔がシュッとしていると思います。
だから「仮想敵」を持ってくる
本質を扱うサービスをセールスするときは、仮想敵を持ってきます。
今の話で言えば、ノウハウで商売しているところ、ノウハウを追い求める行為が仮想敵になります。「ノウハウを求めても、結果は出ませんよ」と。
このように、ジャンルや行為など、広めのくくりで仮想敵を取るならいいんです。
ダメなのは、仮想敵が特定の人物になること。なかでも、自分の先生を仮想敵にするのは、絶対にダメです。
先生との差別化が、先生を貶めてしまう
なぜ、こんな話をするのか。
みんな、先生から習いますよね。先生は自分よりも先を行っている人です。
本人は「先生と同じようなことをやっている」と思っている。先生からすれば全然違うことだと分かっているのですが、印象でひとまとめにしてしまうんです。
すると、「先生と差別化しなければ」となる。「先生はこういうところでやっている。私はこういうところでやっている」と説明する。
この差別化が、自然と先生を貶める行為になってしまうんです。
第6回でもお話ししましたが、私も昔これをやってしまいました。「先生の講座は個別コンサルがありません。だから私は個別コンサルをたくさんつけて、丁寧に伴走します」。
客観的に聞くと、先生のサポートが丁寧ではない、伴走型ではない、だから結果が出ない、という印象を受けますよね。
直接そうは言っていなくても、前提条件の中に組み込まれてしまうんです。

これは本当にマナー違反でした。申し訳なかったと思っています。
じつは、個別よりグループのほうが結果が出る
しかも、その差別化の中身もだいぶ間違っていました。「個別コンサルのほうがいい」という前提です。
結果を出すなら、はっきり言って個別よりグループコンサルのほうがいいんです。
ほかの人の話を聞いていると、自分と同じ悩みに反応できます。そもそも受講生さんの悩みは、「何を質問していいか分からない」がほとんどです。誰かが聞いてくれると、「私もそれ聞きたかった」となる。
もう一つ。先生にアドバイスをもらっても、自分では受け取れないときがあります。
「本当ですか」と疑ってしまう。自分のキャパシティのはるか外、私たちが「思考の枠の外」と呼ぶ場所の話だからです。
たとえば、5万円の商品を売っていた人が「500万円の商品を売ってきてください」と言われたら、「無理です」となりますよね。
でもグループなら、ほかの人が「いや、いけると思うよ」「普通に売れると思うよ」と言ってくれる。すると、「いけるかもしれない」と思えるんです。場の力ですね。
個別コンサルには、高級感や、丁寧に扱われている感覚があります。だから良いサービスに見えるんですが、結局は目的によるんです。
どちらが良い、悪いはありません。
きれいな仮想敵は「社会の仕組み」
でも、差別化をした時点で、比較された対象が悪いという印象になってしまう。
だから、特定の誰かを敵にしてはいけません。何か大きなくくりに持っていくことです。
さらにきれいなのは、社会問題や社会の仕組みを仮想敵にすることです。物価が上がっている、海外からの観光客のゴミの問題がある。そうした社会の課題を敵にすれば、誰も傷つけずに差別化できます。

敵にするのは、人ではなく課題です。
おわりに ── 人を敵にしない人が、選ばれる
セールスで差別化は必要です。でも、誰かを下げて自分を上げる差別化は、長い目で見ると必ず信頼を削ります。
とくに、自分を育ててくれた先生を下げることは、筋を通すことの真逆です。
繊細な人ほど、自分の価値を伝えるのが苦手で、つい誰かと比べて説明したくなるかもしれません。
でも、比べる相手は人ではなく、社会の課題でいい。

あなたが解決したい問題を真ん中に置けば、それだけで十分に伝わります。
それではまた、次回のコラムで。
※本コラムは、YouTubeで公開された動画「95.起業家のマナー12」の内容を、読み物として再編集したものです。






