「起業家のマナー」シリーズ、今回は第8回です。テーマは「一生、伴走する覚悟」。
今回は、どちらかというと先生側のマナーです。
「自分はまだ受講生の立場だし、生徒もいない」という方もいると思います。でも、ビジネスをやっていく以上、あなたにも必ずお客さんができます。
モニターさん、講座の受講生さん、コンサルで伴走するクライアントさん。
そのお客さんに対するマナーの話です。
- 「1年で卒業させる」スタイルの裏にあった、先生側の自信のなさ
- お客様とは最低2年、できれば3〜5年付き合うべき理由
- クライアントに追い抜かれることを、恐れなくていい理由
TMCを立ち上げた頃の、私のスタイル
TMCを立ち上げたとき、最初は「1年間、私が個別コンサルをします」というサービスで始めました。
ありがたいことに希望してくれる人がどんどん増えて、最終的には127名ほどのコミュニティになりました。
もう、ブラック企業です。朝6時半から夜10時半まで、毎日ひたすらコンサル。100人を超えると、そうなるんですよ。
そんな中、始まって半年ほど経った頃に、こう言うクライアントさんが出てきました。
「あと半年で、TMCを卒業しちゃうじゃないですか」。
私からすれば、「まだ半年残っているでしょう。なんなら、まだ半年しか経っていないのに」という感覚です。正直、まったく相手にしていませんでした。
「1年で全部教えるから、次へ行け」

でも、そういう人たちはどんどん不安になっていきます。「あと4ヶ月」「あと3ヶ月」「あと2ヶ月」と。
私はどう思っていたか。「この1年で、知っていることは全部教える。1年経ったら私からの学びは終わりなんだから、次へ行けばいい」と考えていました。
そして、それが相手のためだと思っていたんです。
束縛する彼氏みたいに「私の講座しか受けちゃダメ」と縛りつけたら、それこそ成長が止まる。いろいろな先生から学んで、豊かに生きていけばいい。
いい意味で言えば、懐が深いスタイルです。
でも、違う言い方をするなら、私は自分に自信がなかったんです。
1年教えきったら、その後に渡せる価値や知恵なんて、もう自分には残っていない。だから「次へ行きなさい」と言っていた。

あれは、自分の自信のなさの表れだったんです。
卒業させた人たちに、起きたこと
そのスタイルでやってきて、分かったことがあります。
「もう少しいたいです」と言ってくれたのに、「卒業しなさい」と送り出した人たち。その後、いい話を聞かないんです。
不足感を抱えたまま出ていくので、そのエネルギーで寄ってくるものを掴んでしまうのでしょう。
卒業後に投資詐欺に遭った人の話を、何人か聞いています。詐欺に加担してしまったケースも、何人か聞いています。
加担してしまう人に、悪気はありません。弱い心を持っていると、詐欺師に騙されやすいんです。
詐欺師は、自分では詐欺をしません。手足になって動く人を使います。本元は、関わっている人のずっと上のほうにいて、絶対に足がつかないようにしている。
だから、末端で話を持ちかけている人は、むしろ騙されている側だったりするんです。
私は詐欺に8回遭っているので、この世界にはわりと詳しいんですよ。本当に、みなさんには遭わないでほしいと思っています。
どちらも「自信のなさ」から起きている

整理すると、両方が自信のなさから起きています。
サポートする側は、自信がないから「1年で終わりです。次へ行ってください」と言う。
受講する側は、自信がないから「もっと一緒にいたかったのに、追い出された。誰か助けて。誰か楽して稼がせて」となる。
「楽して稼がせて」は、詐欺師を引き寄せるキーワードです。不足感から動くと、不足感につけこむものが寄ってきます。
1年見てきたあなたが、いちばん分かっている
では、何を正せばいいのか。
1年のサポートが終わって「さようなら」となったら、お客さんは次にどこで学ぼうかと、あなた以外の場所を探します。
でも、あなたは1年間その人を見てきましたよね。言葉で聞くよりも深く、その人のことを理解しているはずです。
だとしたら、その深く理解しているあなたが伴走したほうが、結果は出ると思いませんか。
もちろん、素晴らしい先生に新しく出会って引き上がっていくこともあります。それはそれで、あるんです。
でも、あなたが伴走しながら「このスキルは、あの先生のところで学ぶといいよ」と相談に乗り、プラスアルファで送り出してあげればいいんです。

伴走しながら、必要なら他の先生も勧める。それでいいんです。
投資と回収が回る人に、引き上げる

あなたのサポートには、いただいているお金以上の価値がありますよね。
たとえばあなたの講座が50万円なら、今50万円を稼ぐ力の人を、200万円稼げる力に引き上げればいい。
そうすれば、その人は投資しても回収し続けられる人になります。
ずっと50万円を払い続けてもらっても、払った以上に成長できる。そういうサポートを続ければいいんです。
そのためには、あなた自身も成長し続けること。あなたが成長し続ける限り、提供できるものは永遠に生まれます。
お客様とは、最低2年付き合う
めちゃくちゃ具体的に言います。
お客様とは、必ず2年以上付き合いましょう。私の中では、できれば3年から5年は欲しいと思っています。
実際、今のTMCにも、3年目、4年目の方が出てきました。
そして、5年はいけるという確信があります。私自身が進化成長し続けているからです。
昔の自分とは、エネルギーがまったく違う。そして、ついてきてくれるクライアントさんも一緒に成長していく。
私が引っ張るから、クライアントさんもどんどん良くなっていくんです。
世界一のコーチにも、10年続くクライアントがいる

これは私だけの話ではありません。
世界ナンバーワンコーチと呼ばれるアンソニー・ロビンズにも、ずっとトニーのクライアントだという人たちがいます。
そのうちの一人が、私の師匠の大森健巳先生です。先生は10年間、アンソニー・ロビンズのプラチナパートナーとして学び続けています。
年間1,000万円以上するプログラムです。
だから先生も、ずっと進化成長を続けています。最近は進化しすぎて仙人のようになっていて、言っていることが哲学的すぎて、ついていくのに必死です。
追い抜かれることを、恐れなくていい
ここで誤解しないでほしいのは、お客さんを押さえつけろという話ではないということです。
万が一、クライアントさんがあなたの成長を追い抜いていった。いいじゃないですか。そうしたら、クライアントさんは自分で次のところへ行きます。
あなたは、「ずっとこの人を見ていく」という意識でオファーをすればいい。選ぶのはクライアントさんです。
売上規模でクライアントさんが自分を抜いていく。そんなのは当たり前です。むしろ、そうさせないといけません。

私たちは、稼ぐためではなく、人を成長させるためにこの仕事をしているんですから。
おわりに ── 成功するまで、私が見る

自分が先生側になったら、お客様とずっと伴走する。
自分が成長し続けて、支え続けて、クライアントさんが成功するまで私が見るんだという意識を持つ。
繊細な人ほど、「自分なんかがずっと関わっていいのだろうか」と遠慮して、手を離してしまいがちです。
でも、その遠慮は優しさではなく、自信のなさかもしれません。

2年以上付き合うつもりで、お客様と接する。これもマナーとして、ぜひ持っておいてください。
それではまた、次回のコラムで。
※本コラムは、YouTubeで公開された動画「91.起業家のマナー⑧」の内容を、読み物として再編集したものです。






