「起業家のマナー」シリーズ、今回は第9回です。テーマは「時間を奪うな」。
時間を奪わない話なので、動画もなるべく短くまとめました。このコラムも、要点を絞ってお届けします。
- 「30分取ってもらったから、30分使う」が消費者思考である理由
- うまくいく人と、うまくいかない人のコンサルの終わり方の違い
- 愚痴や不平不満を、マナー違反にしない方法
個別コンサルの「30分」は、万が一のための枠
個別コンサルは、よく30分で枠を取りますよね。なぜ30分なのか。
じつは、もしものときのために取っているんです。
30分が必要なのは、たとえば「資料を見てください」という相談です。資料を見ながら一緒に検討するので、時間がかかります。
でも、「方向性を見てください」「今、自分が何をすべきか教えてください」という相談なら、30分もいりません。5分で終わります。なんなら一瞬です。
だから、私のコンサルはすぐ終わります。本来なら、15分単位にしたいくらいです。10分話して、5分休憩。
それでも万が一があるので、30分を置いているんです。
つまり、30分は「使い切るための時間」ではなく、「必要なら使える時間」なんですね。
「30分使わないともったいない」は消費者思考

ところが、消費者の感覚だと「30分取ってもらったんだから、30分使いたい」と思ってしまいます。
これは「もったいない」という消費者思考です。
そして同時に、マナーとして見ると、相手の時間を奪っていることになります。
必要がないなら、そこでさっさと終わればいいんです。そうすれば、お互いが残りの時間を有益に使えますよね。

用が済んだら、終わる。それがお互いのためです。
今の時代、いちばん価値が高いのは時間
今の時代、お金よりも時間のほうが価値が高いです。
みんな、時間が欲しいからお金を払っていますよね。
わが家も、家事代行をお願いしています。お金を払って代わりにやってもらい、浮いた時間でビジネスをしているんです。
高速道路もそうです。下道のほうが安いのに、なぜ高速に乗るのか。移動の時間を縮めて、家族と過ごしたり作業したりする時間が欲しいからですよね。
特急や新幹線も同じです。普通電車に乗ればいいのに、お金を払って移動時間を縮めている。
世の中は、時間を買うためにお金を払っているんです。
お金がいくらあっても、命には関係ありません。でも、命の長さは時間で決まっている。つまり時間は、命そのものです。それを無駄にするのは、大きなマナー違反なんです。
うまくいく人は、コンサルを早く切り上げる

お金を持っている人、ビジネスのステージが高い人ほど、時間にものすごくシビアです。
「この人はうまくいくな」という人は、だいたいコンサルを早く切り上げます。
「聞きたいことは以上なので、今日は大丈夫です」と言って終わる。そういう人のコンサルは、たいてい15分以内に終わります。
逆に、「この人はうまくいかないだろうな」という人は、用事が終わったあとの話が長いんです。
30分を最後まで使い倒して、終わる頃には「あぁ、終わってしまった」という雰囲気を醸し出す。
ファンとして見てくれるのは、嬉しいんですよ。でも私は、ファンでいてほしいわけではありません。あなたに成功してほしいんです。

目的が終わったら、自分のやるべきことに集中してください。
無料相談で時間を奪うのは「テイカーのテイカー」
もっと危ないのは、無料の場で時間を奪うことです。
お金を払って講座やコンサルを受けているなら、まだいいんです。
でも、無料相談や無料サポート、無償のモニターで相手の時間を奪うのは、テイカーの中のテイカーです。
だから私は、無料相談には行きませんし、無料コンサルも受けません。こちらがもらっているだけ、奪っているだけになってしまうからです。
そして、奪うと、誰かに奪われます。エネルギー保存の法則ですね。逆に言えば、与えれば、誰かから与えられるんです。

奪えば奪われる。与えれば与えられる。これは法則です。
時間を奪う癖がついている人は、自分の時間も誰かに奪われていきます。気づかないうちに、そういう人たちに囲まれてしまうんです。
うだうだに相手を付き合わせない

とくに気をつけたいのは、決断できずにうだうだしている時間に、相手を付き合わせることです。
コンサルで「こうやったらいいですよ」とお伝えして、「はい、分かりました」で終わる話があります。
それが「でも、私にはこういう理由があって」と続く。決断するまでに少しタイムラグがあるくらいなら、まだいいんです。
一度、そこから愚痴タイムが始まったことがありました。「聞いてください、旦那がこんなひどいことをして」と。
さすがに、そこで止めました。
「ちょっと待ってください。その話、私が聞かないといけないですか。私の時間をすごく奪っていること、気づいていますか」。
ご本人には、なかなか受け取ってもらえませんでした。そういう話をしている時点で、アドバイスを受け取れる状態ではないんですね。
だからこそ、相談の場では、目的を果たすことに集中する。聞きたいことを聞いて、決めて、終わる。その潔さが、結果につながります。
愚痴は、お金を払って聞いてもらう
愚痴や不平不満を垂れ流すのは、相手の時間を奪う以外の何ものでもありません。生産性もない。
でも、分かるんですよ。愚痴も不平不満も、出てきますよね。
では、どうしたらいいか。簡単です。
お金を払って、聞いてもらえばいいんです。話を聞くことを仕事にしているカウンセラーさんがいますよね。愚痴を言うこと自体がダメなのではなく、適切な場所で、適切なことをするのがマナーです。
コンサルの場で延々と愚痴を話すのは、居酒屋で店員さんを呼び止めて、ずっと愚痴を話し続けているのと同じです。
店員さんには、料理を運んだり、注文を取ったり、料理を作ったりする仕事があります。それなのに呼び止めて話し続けたら、迷惑ですよね。
話を聞いてもらいたいなら、話を聞くことをサービスにしているお店に行く。そこでお金を払うのが筋です。

愚痴が悪いんじゃないんです。出す場所が違うだけなんです。
おわりに ── 時間を大切にする人が、大切にされる

相手の時間を奪わない。今日はこれだけ、意識してみてください。
繊細な人ほど、「せっかく時間を取ってもらったのに、早く終わったら失礼では」と気を遣ってしまいます。
でも、用件が済んだら感謝して切り上げることこそ、いちばんの気遣いです。

時間は命です。相手の命を大切にできる人が、相手からも大切にされていきます。
それではまた、次回のコラムで。
※本コラムは、YouTubeで公開された動画「92.起業家のマナー⑨」の内容を、読み物として再編集したものです。






